漢方の特徴について知る

漢方の特徴について

ここでは、漢方をあまりご存知では無い方や、漢方治療をお考えの方に、漢方はどのようなものなのか?というのを特徴として纏めました。漢方を知っていただくためにどうぞご活用ください。

一度は断絶された治療体系です。

江戸時代に独自の発展を遂げた日本漢方ですが、明治維新を経験した新政府は西洋化を第一に掲げ、また戦場で役立つ医療を求めました。1895年(明治28年)に国会第八議会において漢医継続願が否決されたことにより、ほとんど断絶状態に陥ります。しかし、漢方薬の効果は確かな物でしたので1910年(明治43年)に和田啓十郎の「医界之鉄権」、1927年(昭和2年)に湯本求真の「皇漢医学」などの著述が引き金の1つになって、徐々に脚光を浴び現在では148処方が保険適応となっています。そのまま廃れなかったのは、確かな効果があったからだと考えています。

昔は西洋医学も薬草を使っていた。

今の医学は19世紀以降に大改革を起した近代医学が元になっています。この近代医学によって日本漢方は一時的に断絶に近い状態まで追いやられました。しかし、それ以前の西洋医学は実は東洋医学と同じように薬草を多く使用していました。現在はハーブ療法としてその片鱗がうかがえます。今でも病院で出される薬の中には、元は薬草から抽出された成分を人工的に合成した物が多く使われています。例えばアスピリンはホワイトウィロウの樹皮やメドースイートから抽出された物ですし、ジギタリス製剤は元々、ジギタリスの葉を温風乾燥した物から抽出したのが始まりです。

古代西洋医学と東洋医学の分岐点の1つ

今でもよく漢方治療で使われている附子剤が分岐点の1つです。附子はトリカブトです。トリカブトは毒草として世界的に知られていますが、東洋医学ではこれに熱を加えたりすることで毒性を減らし、治療に用いています。中国では前2世紀後半には医薬品としての評価が殆ど確立されていたようです。傷寒論・金匱要略では附子を含む方剤は20処方も記載され、「附子は陰証に対する薬物の長である。」と記されるほどでした。これに対し、古代西洋医学ではガレノスという有名な学者が「トリカブトは毒であり、まったく人間の健康には役に立たない」と否定してしまったので、それ以降使われることはありませんでした。19世紀以前は西洋医学より東洋医学の方が発展していたといえるかもしれません。附子剤は今でも非常に有効な漢方薬です。先人の工夫に敬意を表したいと思います。

漢方の多様性、カスタムメイド治療

400種類以上ある生薬の組み合わせが漢方の多様性を可能にしています。しかし、ただ適当に組み合わせればいいわけではなく2000年の経験によって取捨選択された名前のついた漢方薬が基本になります。しかし漢方の多様性はそれだけではなく、合方と加減方によって広がります。まず証を診て、当てはまる漢方薬を投与し、その反応を見て生薬を増量したり、減らしたり、取り除いたり、別の生薬を加えたり(加減方)、また証が二つあると判断したら2種類の漢方薬を投与したり(合方)、その上でまた証を診て加減または漢方薬の変更をしていく、そのことが漢方の多様性を担保し、カスタムメイド治療することになります。

煎じ薬とエキス剤

漢方薬には煎じ薬とエキス剤があります。本来の漢方薬は生薬を刻み、あるいは砕き、あぶったり、炒めたりした物に水を加え、煮だした液体を内服します。エキス剤はこの煮だした液体を乾燥させて粉末状に加工した物です。煎じ薬は豆を厳選し、ブレンド、焙煎しドリップして作る本格的なコーヒーとするとエキス剤はインスタントコーヒーです。インスタントコーヒーがその加工過程で、嗜好品であるコーヒーにとって重要な味や香りが損なわれやすいのと同様に漢方薬も煎じ薬の方が効果が高いですし、エキス剤の顆粒からある生薬の成分だけを取り除くことはできないので、煎じ薬なら加減法が可能ですが、エキス剤では加法のみしかできません。

こう書くと煎じ薬の方がずいぶんよいように思えますが、実際に広く出回っているのはエキス剤です。エキス剤は大量生産し保存も利くので安価に提供できます。煎じ薬は生薬の殆どを輸入に頼っていることもあり、生薬の原価が高いため保健医療では提供しづらいため、自費診療となり月2〜3万円かかるのが欠点です。